株式会社ゼン・インターナショナルは、宮城県石巻市を拠点に、飲食店のフランチャイズ事業とホテルレストラン業務受託事業を展開しています。ホテルレストラン業務受託事業では、宮城県内7施設、福島県内1施設で、朝食を中心としたレストラン運営をまるごと受託して運営してきました。その他にも、公設民営の「かなんパークゴルフ場」の食堂と、栗原市花山の特別養護老人ホーム「しゃくなげの里」の給食事業も受託運営。複数施設での実績があり、調理、接客、人材育成、現場運営のノウハウも蓄積されていました。
しかし、新たなホテルへの営業を進めようとすると、課題がありました。
「自社の何を強みとして伝えるのか」
「大手受託企業との違いをどう説明するのか」
実績はあるものの、それを受注につながる形で整理ができていませんでした。また営業も社長の人脈等に依存しており、組織的な営業体制が構築できていませんでした。商工中金仙台支店さんの紹介で、当拠点にご相談にお越し頂きました。
宮城県よろず支援拠点では、現場業務の棚卸しから始め、強みの言語化、営業資料の再構成、提案内容の改善までを伴走支援しました。また商工中金の職員さんも同席しての継続支援となりました。


支援のポイント
支援内容
実績はある。しかし営業では「会社紹介」にとどまる
当社は、新規営業では、会社概要や受託施設数の説明資料が中心となり、
「なぜ当社へ委託するのか」
「導入するとホテル経営にどのような効果があるのか」
までを明確に伝えられていませんでした。結果的に見積りを出して金額ベースで合うか合わないかの提案にとどまっていました。当拠点では、営業資料を作り直す前に、まずは社内にある価値を洗い出す必要があると考えました。
現場を整理し、単に「朝食を作る会社」ではないことが見えてきた
まずは、すべての業務を一つずつヒアリング。その過程で、当社が日常的に行っていた業務の中に、ホテル側の経営課題を解決する仕組みがあることが分かりました。
例えば、料理長一人に依存せず、スタッフ全員が在庫を確認し、メニューや仕入れを考える運営体制です。残った食材についても、別の料理への活用方法を現場で考え、食材ロス削減につなげていました。
また、契約農家から仕入れた宮城県産米を使用し、食事開始に合わせて炊きたて・作りたてを提供。地域食材や郷土料理を取り入れ、朝食そのものをホテルの特徴にする工夫も行っていました。
さらに、スポーツチームの管理栄養士との調整、宗教に応じた食事変更、団体向け弁当、嚥下食など、ホテルごとの要望にも対応していました。
これらをホテル側の視点で整理すると、当社へ委託することで、
- 料理長の採用や退職に左右されにくい、安定した朝食運営ができる
- 食材ロスや原価を抑え、朝食部門の収益改善につなげられる
- 地域性のある朝食によって、宿泊満足度や口コミ評価の向上を図れる
- 団体客、外国人、スポーツチームなど、多様な宿泊需要を取り込める
という経営上のメリットが見えてきました。つまり、当社が提供しているのは、単なる朝食調理の代行ではありません。人材不足、原価高騰、差別化、顧客満足度といったホテル経営上の課題を、朝食部門から解決するサービスであることが明確になりました。
強みを並べるのではなく、ホテルの悩みから資料を組み直す
強みが整理できても、それをそのまま営業資料に並べるだけでは、ホテル側に導入価値は伝わりません。
そこで、営業資料の構成を「当社は何ができるか」から、「ホテルが抱える課題を、当社がどう解決するか」へと組み替えました。
資料の冒頭には、人材不足、料理長への依存、原価上昇、朝食の差別化、口コミ評価といったホテル側の課題を提示。そのうえで、同社の運営体制や現場対応力を、課題に対する具体的な解決策として整理しました。
ホテルの朝食部門を「コスト部門」から「利益と顧客満足度を生む部門」へ変える。
それが私たちの価値です。
この構成に変えたことで、ホテル朝食受託を単なる外注業務ではなく、ホテル経営を支える課題解決型の提案として伝えられるようになりました。
資料の完成が、受注と次の経営課題の解決へ
資料の完成後すぐに新規ホテル運営事業者との面談があったので、完成した提案資料を使い提案。すると、なんとその場で受注が決定。先方客先も「こんな提案があるとはすばらしいです。当社グループ内の他ホテルも継続的にお願いしたい」と本当に喜んでくださっていたとのことです。
以上のように、今回の支援は、提案資料の見直しによって新規受注を実現するとともに、同社の営業力を個人の力から会社の仕組みへ変える支援となりました。
顧客の課題と、自社が提供できる解決策を結び付けて説明できるようになったことが、提案の具体性を高め、また、顧客課題、自社の強み、サービス内容、導入メリット、対応事例が資料に整理されたことで、社長以外の社員も同じ流れで提案できるようになりました。





事業者さまの声

お取引先の金融機関の担当者からご紹介いただいて、初めてお伺いさせていただき、よろず支援拠点の存在を知りました。
お伺いした時の、親切でわかりやすい説明に感激し、弊社の事業内容と現状、課題についてお話しすると、実に的確にアドバイスいただき、初回から気軽にご相談できる雰囲気をつくっていただきました。
その後、弊社の強みや足りない点を、会話の中でどんどん引き出していただき、あらためて、可視化することができたのは、経営者としての日々の課題の解決の糸口を見つける、非常に大きなきっかけとなりました。今後は、弊社の強みと課題をしっかりと分析したうえで、事業の拡大や経営の安定化につなげてまいりたいと考えております。
まだまだ、経営課題はありますので、それらのご相談を継続してお願い申し上げ、お取引様、お客様の満足度の向上はもちろん、従業員一人一人が、この会社で働いてよかった、と思える会社づくりを目指して努力してまいります。
事業者情報
| 事業者名 | 株式会社ゼン・インターナショナル |
| 住所 | 石巻市西山町 |
| ホームページ | http://www.i-port.ne.jp/zen/ |
●主な支援コーディネーター

佐藤 創 (中小企業診断士、高度情報処理技術者、ブランドマネージャー、アドラー心理学マスタープラクティショナー/インストラクター)
診断士の戦略眼・財務戦略と、IT業界で培ったWebマーケティングや業務効率化、ブランドマネージャーとしての広告・ブランド戦略を総合する「企業の本質的な成長支援」が得意。
今回のご支援では、業務を分解して強みを抽出し、「ホテル事業者のどの課題を、どのように解決できるのか」という形で営業資料へ落とし込みました。強みを見つけるだけでなく、顧客に伝わり、社員が使える形に変えること。それが、個人の営業力を会社の営業力へ変える第一歩になります。








