コーディネーターブログ

デザインにも着こなしがある。自分たちに似合う表現の整え方

こんにちは。
宮城県よろず支援拠点コーディネーターの酒井裕希です。

6月に入り、衣替えの季節になりました。クローゼットを整理しながら、ふと「デザインや言葉選びも、服選びに似ているなぁ」と感じることがあります。

流行のデザインを取り入れる。
格好いいキャッチコピーを使ってみる。
今っぽい色や写真のトーンに変えてみる。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。けれど、どれだけ素敵な服でも、着る人に合っていなければ、どこか落ち着かない印象になります。服に「着られている」ように見えてしまう。

表現にも同じことが起こります。いま、広告やSNS、ホームページでは、たくさんの“良さそうな表現”に出会えます。でも大切なのは、それが流行っているかどうかだけではありません。

自分たちに似合っているか?
お客様にどう受け取られるか?
そして、事業の姿勢と矛盾していないか?

今回は、ブランド表現の“着こなし”について考えてみたいと思います。


「似合う表現」は、好みだけでは決まらな

デザインや言葉を選ぶとき、つい「こっちの方が好き」「こっちの方が目立つ」「なんとなく今っぽい」といった感覚で判断してしまうことがあります。

もちろん、感覚は大切です。
でも、感覚だけで選ぶと、担当者ごとに判断が変わります。

ある人は「もっと明るく」と言う。
別の人は「もっと落ち着いた方がいい」と言う。
また別の人は「もっと目立たせたい」と言う。
どれも間違いではありません。
ただ、基準がないまま選ぶと、表現は少しずつ散らかっていきます。

似合う表現とは、単に「好きな表現」ではありません。
自分たちの姿勢と、お客様の期待が重なる場所にある表現です。

たとえば、安心感を大切にしているお店なのに、過度に派手な色や強い言葉を使うと、少し違和感が出ます。一方で、親しみやすさを大切にしているお店が、硬すぎる言葉ばかりを使うと、距離が生まれてしまいます。

「良いデザインかどうか」だけではなく、「自分たちらしく伝わるかどうか」。
この視点が、表現の着こなしには欠かせません。


まず整えるのは、見た目よりも“姿勢”

たとえば服を選ぶときも、最初から細かな装飾を考えるより、まずは「今日はどんな場に行くのか」「どう見られたいのか」を考えるはずです。仕事なのか、式典なのか、近所への外出なのか、誰に会うのか・・・。TPOを意識すると思います。

デザインや言葉も同じです。
いきなりフォントや色を選ぶ前に、まずは自分たちの姿勢を言葉にしてみることが大切です。

たとえば、次のような問いです。
・私たちは、お客様にどんな気持ちになってほしいのか?
・どんな会社、どんなお店として覚えてもらいたいのか?
・大切にしている姿勢は、丁寧さなのか、親しみやすさなのか、専門性なのか?
・お客様との距離感は、近い方がよいのか、少しきちんとしていた方がよいのか?

こうした問いに答えていくと、選ぶべき表現の方向が少しずつ見えてきます。

やさしい会社なら、やさしい言葉を。
誠実な店なら、誠実な写真を。
専門性を伝えたいなら、信頼感のある構成を。

見た目を整える前に、姿勢を整える。
そこから、似合う表現は決まりはじめます。


流行は、取り入れるもの。頼りきるものではない

流行のデザインや言葉は、たしかに目を引きます。SNSでも、今っぽい見せ方や言い回しはすぐに広がります。けれど、流行だけに頼ると、自分たちらしさが見えにくくなることがあります。

たとえば、どこかで見たような言葉。
誰が言っても成立するコピー。
業種を入れ替えても使えてしまうデザイン。
それらは一見きれいでも、お客様の記憶には残りにくいものです。

流行を取り入れることは、悪いことではありません。
大切なのは、それをそのまま着るのではなく、自分たちに合う形に直すことです。

色を少し落ち着かせる。
言葉の温度を変える。
写真の選び方を自社らしくする。
余白の取り方や語尾の調子を揃える。

小さな調整の積み重ねで、表現は“借りもの”ではなく、自分たちのものになっていきます。


迷ったときは「基準」に戻る

表現に迷ったときは、次の3つを確認してみてください。

◯1つ目は、目的に合っているか。
その表現は、何を伝えるためのものなのか。
見た人に、どんな印象や行動を生みたいのか。

◯2つ目は、お客様に合っているか。
自分たちが言いたいことではなく、相手が受け取りやすい言葉になっているか。

◯3つ目は、自分たちらしいか。
その表現は、他社でも言えるものになっていないか。
自分たちの姿勢や価値観とつながっているか。

この3つを確認するだけでも、判断はかなり整理されます。

「なんとなく良い」ではなく、「この基準に合っているから良い」。 そう言える状態になると、発信はぶれにくくなります。


おわりに

ブランドづくりとは、特別な装飾をすることではありません。自分たちの姿勢を、言葉や見た目やふるまいを通じて、少しずつ丁寧に伝えていくことです。

流行の服を着ることよりも、似合う服を選ぶこと。
目立つ表現を選ぶことよりも、伝わる表現を整えること。
その積み重ねが、お客様の中に「あのお店らしい」「あの会社らしい」という印象を育てていきます。

「今の発信は、等身大の自分たちに似合っているだろうか?」

一歩立ち止まって見直すことが、結果として、もっとも伝わる表現への近道になります。


📌 よろず支援拠点では、広告・発信・ブランド整理についての個別相談を承っています。チェックリストでひとつでも曖昧さを感じたなら、そこが整理の入口です。発信が整うと、売上も信頼も、静かに安定していきます。

また、さまざまな専門家によるセミナーも毎月開催しています。経営のヒントがきっと見つかるはずです。どうぞご活用ください。

ご相談はこちらから