コーディネーターブログ

言いたいこと、だけじゃ足りない。欲しくなる言葉のつくり方

こんにちは。
宮城県よろず支援拠点コーディネーターの酒井裕希です。

「事業のこと、サービスのこと、ちゃんと説明しているつもりなのに、なぜか相手に響かない、動いてもらえない。」そんな経験はありませんか?

もしかするとそれは、「言いたいこと」を届けているだけだからかもしれません。

相手にとっては、すでに知っていることかもしれない。どこかで聞いたような話かもしれない。繰り返し伝えてきた“当たり前”の説明かもしれない。あるいは、すぐに陳腐化してしまう一過性の機能だけを並べているのかもしれません。


言葉のチカラには、2つのベクトルがある

広告や広報の世界ではよく、「What to say(何を言うか)」と「How to say(どう言うか)」という考え方が使われます。これは単なる言い回しの違いではなく、言葉の“役割”の違いを意味します。そしてこの視点は、広告に限らず、販促物・SNS投稿・会社紹介・社内コミュニケーションなど、あらゆる“伝える”場面で活かせる考え方です。

「伝える言葉」と「気づかせる言葉」

言葉には、大きく分けて2つのタイプがあります。

◎伝える言葉(what to say:情報や機能を届ける言葉)
– 商品の特徴や内容
– 価格・仕様・場所などの情報
これらは
→ 知らなかった知識として、聞き手は受け取る

◎気づかせる言葉(how to say:相手の中に欲求を生む言葉)
– なんだか自分ごとのようで気になる
– そう言われると欲しい
これらは
→ 行動や感情を引き出す文脈


例:「伝える」と「気づかせる」の違い

シーン伝える言葉(what to say)気づかせる言葉(how to say)
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「言いたいこと」は、伝わるためのスタートライン

企業やお店が持つ思い、こだわり、サービスの特長。それを「伝えたい」と思う気持ちはとても大切です。でも、それをそのまま“言葉に置く”だけでは足りない。相手の立場になって、“どう言えば伝わるか”に翻訳することで、初めてその言葉は「届くチカラ」を持つようになります。

コピーづくりのコツは、「相手の内側を想像すること」

言葉を考えるときに大切なのは、「自分が何を言いたいか」ではなく、「相手がどう感じるか」を想像することです。まるで“贈りもの”を考えるように、相手の気持ちになって、言葉を選ぶ。それが、「気づかせる言葉」への第一歩です。

– この言葉を見た人は、どんな気持ちになるだろう?
– どんな人に、どんなふうに届いてほしい?
– どんな場面で、「ハッ」としてもらえるか?

言葉は、目線を誘導する“スイッチ”になる

この考え方は、広告やSNSだけでなく、社内組織での意識共有や、採用・人材育成の場面でも活きます。言葉には「こういうふうに見てほしい」と相手の目線を導く力があります。単なる説明ではなく、“意味を感じさせる”言葉のデザインが、これからの経営にはますます重要になってくると感じています。

「伝える」から、「気づかせる」へ。言葉のちから

伝えたいことがあるのは、素晴らしいこと。でも、それをどう届けるかで、伝わり方は大きく変わります。その一言で心が動き、商品や事業が輝き、組織に力がみなぎる。言葉は、誰もが手にできる“最強の道具”なのかもしれません。


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