コーディネーターブログ

「あなたはしょう”ひん”(商品)を売っていますか?それともしょう”らい”(未来)を売っていますか?」

こんにちは。
宮城県よろず支援拠点の鈴木です。

突然ですが、とある男の話をさせてください。


2007年1月9日、サンフランシスコ。
世界中が固唾を飲んで見守る中、スティーブ・ジョブズは舞台に立ちました。

彼の手に握られていたのは、後の世界を変えることになるデバイス、iPhone。
しかし、彼はその革新的な「機能」について、すぐに語り始めたわけではありませんでした。

彼はまず、こう語りかけたのです。

「今日は、3つの革新的な製品を発表します」

聴衆はざわめきます。
しかし、彼はすぐにその言葉の”真意”を明かします。

「一つ目は、ワイドスクリーンiPodとタッチコントロール」
「二つ目は、革命的な携帯電話」
「そして三つ目は、画期的なインターネット通信デバイス」

そして彼は、これらをまるでマジックのように融合させると宣言し、スクリーンに映し出されたのは…

「これらは独立した3つの製品ではありません。これは、一つの製品です。」

その瞬間、スクリーンには大きな文字で「iPhone」の文字が。


ここで大事なのは、ジョブズは、iPhoneという「商品」を売ったのではないということ。

彼は、iPod、電話、インターネットがシームレスに融合し、私たちの生活を劇的に変える「未来」を見せたのです。

単に「高性能な携帯電話です」とスペックを羅列するのではなく、「あなたの音楽、電話、インターネットが、こんなにも美しく、簡単に一つになる未来がやってくる」と語りかけたからこそ、世界中の人々は熱狂し、iPhoneの登場を待ち望んだのです。

あなたは「商品」を売っていますか?それとも「未来」を売っていますか?

ジョブズのプレゼンは、私たちにマーケティングの最も大切な原則を教えてくれます。

顧客は「商品」を買うのではありません。
顧客は、その商品を手に入れた先に得られる「未来」を買うのです。

多くの経営者は、無意識のうちに「商品売り」になってしまっています。

●「うちのケーキは、新鮮な素材を厳選し、熟練の職人が手作りしています!」
(→ 顧客は「新鮮な素材」よりも「このケーキを食べた時の最高の幸福なひととき」を求めている)

●「このフィットネスジムは、最新のトレーニングマシンを完備し、経験豊富なトレーナーが指導します!」
(→ 顧客は「マシン」や「トレーナー」よりも「引き締まった体と自信に満ちた自分」という未来を求めている)

●「このコンサルティングは、〇〇のフレームワークを使って、あなたのビジネスの課題を解決します!」
(→ 顧客は「フレームワーク」よりも「売上が倍増し、時間的自由を手に入れた理想の経営者像」という未来を求めている)

もしあなたが「商品売り」に終始しているなら、お客様はあなたのメッセージを「機能の羅列」としてしか認識せず、競合他社との違いを見つけられません。

結果として、価格競争に巻き込まれたり、単なる選択肢の一つとして見過ごされてしまったりするのです。

あなたのビジネスが提供する「未来」を見つけ出す3つの質問

では、どうすればあなたの事業でも、ジョブズのように「未来を売る」ことができるようになるのでしょうか?

あなたの事業がお客様に提供する「未来」を見つけ出すための下記の3つの質問を、自分自身に投げかけてみてください。

①「あなたの顧客は、今、何に不満を感じ、どんな『現実』にうんざりしていますか?」

彼らの日々の生活や仕事の中で、解消したいと思っている痛み、苦しみ、ストレスは何ですか?
「ああ、もう嫌だ…」と彼らが心底思っていることは何ですか?

②「あなたの商品やサービスが、その不満やうんざりする現実を解決した後、彼らはどんな『新しい感情』を手に入れますか?」

「これで悩まなくて済むんだ!」という安堵感?
「こんなに簡単になるなんて!」という驚きと喜び?
「新しい自分になれた!」という自信と達成感?

③「その『新しい感情』の先に、彼らはどんな『理想の未来』を想像できますか?」

「引き締まった体で、自信を持って好きな服を着ている自分」?
「売上が安定し、大切な家族との時間が増えた自分」?
「面倒な作業から解放され、本当にやりたかったことに集中している自分」?

「商品」の先にある「未来」を語ろう

あなたのビジネスは、単なる商品やサービスを売っているのではありません。

それは、お客様が抱える不満や問題を解消し、「新しい感情」と「理想の未来」を手に入れるための手段なのです。

ジョブズがiPhoneの前に「未来」を売ったように、あなたも、あなたのビジネスがお客様に提供する最高の「未来」を語り始めましょう。

それが、お客様の心を深く揺さぶり、競合とは一線を画す、あなたの「たった一つの魔法」となるはずです。

今日から、あなたの事業が約束する「未来」を、お客様に聞かせてみてください。
きっと、驚くような反応が返ってくるでしょう。


あなたの事業がどのようなお客様の「未来」を見せられるのか、どのようなお客様の「未来」を伝えられるのか。
お一人で考えるのが難しいという場合は、私たちも一緒に考えさせてください。

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