サポーターブログ

IT化の前に、まず「やめる作業」を考える

 人手不足や物価高騰が続く中で、中小企業でもさすがに「そろそろIT化を進めたい」、「DXに取り組まなければ」と考える会社が増えているように思います。
 紙の帳票をなくしたい、Excel管理を効率化したい、予約や在庫、売上管理をシステム化したい。こうした前向きな取り組みは、とても大切です。

 ただし、ここで一つ注意したいことがあります。それは、現在の作業をそのままIT化してしまうことです。

 たとえば、今まで紙で記入していた内容を、同じ項目のままシステムに入力する。
 上司に紙で回していた確認作業を、画面上の承認フローに置き換える。あるいは、複数のExcelに転記していた作業を、そのままシステム上の複数画面に入力する。
 これでは、見た目はデジタル化されても、仕事のやり方そのものはほとんど変わっていません。

 その結果、システム構築費用や運用費用は高くなったのに、現場の負担はあまり減らないということが起こります。
 むしろ、紙とシステムの二重管理になってしまい、「前より面倒になった」と感じることさえあります。

 大切なのは、IT化の前に業務そのものを見直すことです。

「本当にこの作業は必要なのか」
「この確認は誰のために行っているのか」
「この帳票は今も使われているのか」
「昔からのやり方に、ただ慣れているだけではないか」

 このように、今の作業を一つひとつ見直していくと、システム化する前に減らせる作業や、無くすことができる手順が見えてきます。
 生産性向上とは、今までの仕事をそのまま速くすることだけではありません。
 そもそも不要な仕事を減らし、本当に必要な仕事に時間を使えるようにすることでもあります。

 そのためには、「どのように仕事をしているか」だけでなく、
「なぜその仕事が必要なのか」
を整理することが欠かせません。
 やり方、つまりHOWだけを見ていると、現在の手順を前提に考えてしまいます。しかし、目的であるWHYやWHATを見直すと、まったく違う改善策が見えてくることがあります。

 たとえば、毎日作成している報告書も、目的が「上司への報告」なのか、「売上状況の確認」なのか、「ミスの早期発見」なのかによって、必要な項目や頻度、方法は変わります。
 目的が明確になれば、紙の報告書をそのまま電子化するのではなく、必要なデータを自動で集計する、確認する人を限定する、週次報告に変える、といった選択肢も出てきます。場合によっては、報告自体が不要になるかもしれません。

 DXというと、どうしても新しいシステムや便利なツールに目が向きがちです。
 しかし、本当に効果を出すためには、現場の仕事を丁寧に見直すことが出発点です。
 現場で実際にどのような作業が行われているのかを確認し、その作業の目的を整理し、必要なものと不要なものを分ける。そのうえで、必要な部分にITを活用することで、初めてデジタル化の効果は大きくなります。

 IT化は目的ではなく、あくまでも手段です。

「今の作業をどうシステム化するか」ではなく、「何のためにその仕事をしているのか」、「もっと良いやり方はないのか」から考えること。それが、中小企業の生産性向上とDXを成功させる第一歩です。

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