こんにちは!
宮城県よろず支援拠点コーディネーターの鈴木貴之です。
2025年もいよいよ夏本番となりましたが、お店の集客は順調ですか?
もし、
「なんとなく集客がうまくいかない」
「頑張っているのにイマイチ伸び悩んでいる」
と感じているなら、もしかしたら「お店のコンセプト」がお客様の目から見て明確になっていないのが理由かもしれません。
コンセプトとは、あなたのお店が「誰に」「何を」「どのように」提供するのかを明確にした、いわばお店の「核」となる考え方です。
これが明確でなければ、いくらチラシを配ったりSNSを更新したり、Googleビジネスプロフィールを頑張ったり、SEO対策された記事を書いて検索結果からアクセスを集められるようになっても、残念ながら効果は薄いでしょう。
例えるなら、コンセプトがない集客は、砂漠に水をまくようなものです。
一見頑張っているように見えても、肝心のお店の魅力がどこへ向かっていくのか、誰に届くのかが不明確だから、結果として何も育たないのです。
より具体的に言えば、コンセプトがないということは「あなたのお店に通うことで何が得られるのか?」「それがどう自分と関係があるのか?」がお客様に伝わっていないということ。
もしくは、コンセプトがあるけれど集客できないという場合は、「それが他の地域の同業者と同じ」に見えているか、どちらかです。
多くのお店経営者は、つい「どんなサービスを提供するか」にばかり目が行きがちです。
しかし、本当に大切なのは「なぜそのお客様があなたのお店を選ぶのか」という、お客様の心に響く理由、つまり「コンセプト」なんです。
コンセプトをどう作ればいいのか?「市場の逆を突く」考え方で、あなたの店は唯一無二になる!
では、どうすれば「売れるコンセプト」を作れるのでしょうか?
その方法の一つとしてぜひ考えてみていただきたいのが、「市場の逆を突く」という考え方です。
これは、競合と同じ土俵で「うちもやっています!」とアピールするのではなく、あえて世間の常識や競合が言っていることの「真逆」を打ち出すことで、お客様の注意を引き、あなたのお店を唯一無二の存在にする戦略です。
「え、逆を言うってどういうこと?」と、あなたは思うかもしれませんね。
考えてみてください。
世の中の多くのお店が「〇〇ができます!」と謳っている中で、「〇〇はできません!」とあえて言うことで、かえって強いメッセージになることがあります。
例えば、私が塩竈市で運営している英会話教室を例にして言うと、「歌や踊りで楽しく学べます!」と他教室が謳っている中で、あえて「歌や踊りはしません!」と言っています。
もちろんそのあとで、「なぜなら、当教室は『話せるようになること』に集中しているので、そこに対して集中しているため、『何となく英語に触れている』というレッスンはしないからです」と続けます。
さらに、「当教室では『英語を覚えることそのもの』が楽しくなるレッスン設計をしているので、あえて歌や踊りを取り入れなくても、覚える楽しさを感じてもらえるのです」と続きます。
このように、「誰もがこうあるべきだ」と思っていることを覆すことで、新しい価値が生まれることもあるんです。
この「逆を突く」ことで、あなたのお店はお客様の記憶に強く残り、「なんか面白いことやってるな」「他とは違うな」と興味を持ってもらいやすくなります。
集客の導線の初期段階でこう思ってもらうのは何よりも大事。
そして、その「逆」の先にあるあなたのお店独自の解決策こそが、お客様を引きつける強力な武器となるのです。
「逆を突く」コンセプトで成功した5つの事例
では、実際に「市場の逆を突く」ことで成功した事例を5つご紹介しましょう。きっとあなたのお店経営のヒントになるはずです。
1. 整体・整骨院:通わせない整体(例)
- 市場の常識: 整体・整骨院は「定期的に通って根本改善」「回数券でお得に継続」といった、継続通院を前提としたサービスが多い。
- 「逆を突く」コンセプト: 「もう通う必要がない身体へ。たった3回で痛みの根本解決を目指す整体」。長期的な通院ではなく、「短期間での卒業」を前面に打ち出し、お客様が抱える「いつまで通えばいいの?」という不安を解消。
- 結果: 短期集中で確実に効果を出したいお客様から圧倒的な支持を得て、他院との明確な差別化に成功しました。
2. 理容室・美容室:予約不要のクイックカット専門店(QBハウスなど)
- 市場の常識: 理容室・美容室は「時間をかけて丁寧に」「予約して行くのが当たり前」というイメージ。
- 「逆を突く」コンセプト: 「予約なし、10分1000円(当時)のヘアカット専門店」。「時間や手間をかけず」「低価格で」「気軽に」という利便性を最優先。シャンプーや顔そりなどの付帯サービスを一切省きました。
- 結果: 忙しいビジネスパーソンや、余計な時間をかけたくない層のニーズを捉え、既存の理容・美容業界に新たな市場を創造しました。
3. エステサロン:月額制セルフエステ(じぶんdeエステなど)
- 市場の常識: エステサロンは「高額なコース契約」「施術はエステティシャン任せ」というイメージ。
- 「逆を突く」コンセプト: 「月額定額制で、人気のマシンが使い放題のセルフエステ」。「自分のペースで」「手軽な価格で」「好きなだけ」プロ仕様のマシンを使える自由を提供。人件費を抑えることで、低価格を実現しました。
- 結果: 「エステに通いたいけど高額で手が出せない」「他人に肌を触られるのに抵抗がある」といった層の隠れたニーズを掘り起こし、人気を集めています。
4. ハウスメーカー:中古住宅のリノベーション専門店(リノベる。など)
- 市場の常識: ハウスメーカーは「新築の一戸建てを建てる」のがメイン。
- 「逆を突く」コンセプト: 「新築ではなく、中古物件を自分らしくリノベーションする専門家」。「新築信仰」の逆を行き、「コストを抑えながら、理想の住まいを叶える」という新しい選択肢を提示。物件探しから設計、施工まで一貫してサポート。
- 結果: 予算を抑えたい、個性的な住まいを追求したいという層から支持され、中古住宅市場における新たな需要を創出しました。
これらの事例は、いずれも「当たり前」を疑い、あえて「逆」の視点から独自の価値を提示することで、大きな成功を収めています。
あなたのお店にも、きっと「逆を突く」ヒントが隠されているはずです。
【ワークシート】あなたの店は「逆張り」でオンリーワンになれる!3ステップワーク
このワークシートは、あなたの理容室、エステ、ハウスメーカー、整体、整骨といったサービス業において、競合と差別化し、お客様に選ばれるための「逆を突く」コンセプトを見つけ出すためのものです。
ぜひ、紙とペンを用意し、じっくり時間を取って取り組んでみてください。
ステップ1:あなたの業界の「当たり前」を徹底的に書き出す
まず、あなたのお店が属する業界の「当たり前」「常識」「お客様の一般的なイメージ」「競合がアピールしていること」を、できるだけたくさん書き出してください。
【記入例】
- 整体・整骨院の場合:
- 定期的に通院するもの
- 回数券がある
- 痛い施術もある
- 保険が使える
- 年配の人が多い
- 予約が必要
- 施術時間が長い(60分など)
- バキバキするイメージがある
- 院内は静かで落ち着いた雰囲気
- 先生が一方的に施術する
- あなたのお店の業界の「当たり前」:(必要であれば、さらに項目を追加してください)
ステップ2:書き出した「当たり前」をひっくり返す(逆を考える)
ステップ1で書き出した「当たり前」のそれぞれについて、その「逆」を考えてみましょう。文字通り、真逆の言葉や概念を当てはめていくイメージです。この段階では、「こんなの無理だ」「非常識だ」と思わずに、とにかく自由に発想してください。
【記入例】
- 整体・整骨院の「当たり前」を「逆」にした例:
- 定期的に通院するもの → 通院不要(または短期間で卒業)
- 回数券がある → 回数券がない(または都度払いのみ)
- 痛い施術もある → 痛くない施術
- 保険が使える → 保険適用外(自費専門)
- 年配の人が多い → 若い人が多い(または特定の年代層に特化)
- 予約が必要 → 予約不要
- 施術時間が長い → 施術時間が短い(10分など)
- バキバキするイメージがある → バキバキしない(ソフトな施術)
- 院内は静かで落ち着いた雰囲気 → 活気がある(または賑やか)
- 先生が一方的に施術する → お客様が主体的に関わる
- あなたのお店の業界の「当たり前」を「逆」にしたもの:
- (ステップ1の1の逆)
- (ステップ1の2の逆)
- (ステップ1の3の逆)
- (ステップ1の4の逆)
- (ステップ1の5の逆)
- (ステップ1の6の逆)
- (ステップ1の7の逆)
- (ステップ1の8の逆)
- (ステップ1の9の逆)
- (ステップ1の10の逆) (必要であれば、さらに項目を追加してください)
ステップ3:ひっくり返した「逆」から「コンセプトの種」を探す
ステップ2でたくさん生まれた「逆」の中から、「これは面白い!」「うちのお店なら実現できるかも?」「こんなことを求めているお客様がいるかもしれない!」というものに注目してください。それが、あなたのお店の新しいコンセプトの「種」です。
大切なのは、単に逆にするだけでなく、その「逆」が誰にとって価値があるのか、どんな課題を解決するのかを具体的に想像することです。
【記入例】
- 「逆」の例: 通院不要(または短期間で卒業)
- ターゲットとなるお客様: 「いつまで通えばいいか分からない」「通い続けるのが面倒」「短期間で効果を出したい」と考えているお客様
- 解決できる課題: 通院の負担、費用、効果への不安
- コンセプトのアイデア: 「もう通う必要がない身体へ。たった3回で痛みの根本解決を目指す整体」
- あなたのお店で実現できるか?: (例)独自の施術メソッドがある、お客様へのセルフケア指導に力を入れている、など
- 「逆」の例: 予約不要
- ターゲットとなるお客様: 「急に時間ができた時に行きたい」「予約が面倒」「仕事の合間に行きたい」と考えているお客様
- 解決できる課題: 予約の手間、時間の制約
- コンセプトのアイデア: 「スキマ時間にサッとリフレッシュ!予約なしで気軽に立ち寄れるタイ古式マッサージ」
- あなたのお店で実現できるか?: (例)駅前など立地が良い、施術時間を短く設定できる、施術者が複数いる、など
【あなたの「コンセプトの種」を見つける】
ステップ2で書き出した「逆」の中から、特に可能性を感じるものに〇をつけ、以下の項目を具体的に書き出してみましょう。
- 特に注目した「逆」のアイデア:
-
- その「逆」がターゲットとするお客様はどんな人ですか?
- (年齢層、性別、ライフスタイル、どんな悩みを持っているかなど)
- その「逆」のコンセプトで、お客様のどんな課題を解決できますか?
- そのコンセプトは、あなたのお店で無理なく実現できますか?(強みと結びつくか)
- このコンセプトを打ち出すことで、競合とどう差別化できますか?
-
ワークのポイントと注意点
- 批判的な目で見ない: ステップ2の段階では、「こんなの無理だ」「非常識だ」と思わずに、とにかく自由に逆を考えてみてください。
- 具体的に考える: 「逆」の種を見つけたら、それがどんなお客様に響くのか、そのお客様のどんな悩みを解決できるのかを具体的に想像しましょう。
- あなたのお店の強みと掛け合わせる: 最終的には、ひっくり返した「逆」が、あなたのお店の強みや特徴と結びついているかを確認してください。無理なく提供できること、あなたが情熱を注げることであるかが重要です。
このワークを通じて、あなたのお店が今まで気づかなかった新しい価値や、競合との明確な差別化ポイントが見つかるはずです。
宮城県よろず支援拠点では、この方法に限らず様々な観点からお話をお伺いしながら、あなたの事業のコンセプトを見つけていくサポートをさせていただいております。
もしご自身で見つけていくことに難しさを少しでも感じている場合は、一度お気軽にご連絡ください。
日々、中小企業の経営者の皆様と接する中で、いかに「独自の強み」を見つけるかが重要だと痛感しています。
特に、理容室、エステ、マッサージ、ハウスメーカー、整体、整骨といったサービス業では、お客様に「選ばれる理由」が明確でなければ、価格競争に巻き込まれてしまいます。
「自分のお店に足りないのはコンセプトかもしれない」
もしこの記事を読んでそんな風にピンと来た場合は、まずはお気軽にご連絡ください。
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